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見た目主義社会の到来

この現象を、目ざとい経営者たちは気にビジネス戦略にとりいれている。

例えば、ローソンやセブン-イレブンといったコンビニエンスチェーン。

新規店舗開店時には、本社からルックスの良いスタッフがヘルプの形で派遣される。

可愛い女の子やさわやかな男性が、お客の手を握ってお釣りを渡してくれる。

そういう見た目のいいスタッフは1週間ほど消えてしまう。

しかし、わずか数日でも、最初に良い印象を与えることは、その後の売り上げにもつながるのだ。

オジサン世代には「見た目」をバカにしたり軽視したりする人も多い。しかし、経営の現場ではそんな甘い認識は通用しないのだ。


見た目主義社会の到来

同じワゴンが往復するだけなので、ここでは「販売員ごとの差」などで僧にない。

私は大阪の大学で毎週、講義をしている。新幹線を利用するのは日常茶飯事なので、販売員たちに何度も確認してみた。

「販売の上手い下手で売り上げは大きく変わります」。彼女たちは口をそろえて教えてくれた。

「でも、もし同じ程度の技量なら、絶対に見た目のいい子のほうが何倍も有利ですね」

どうしても弁当や飲み物が欲しい客なら、販売員が誰に関係なく買うだろう。しかし、追加でおつまみを買う、

みやげ物をもうひとつ買うかどうか、そんなちょっとした違いで「見た目」が大きく作用してくると言うのだ。

「男は美人に弱いから」と女性読者は嘆くかもしれない。しかし、それだけの問題ではない。

野球場のビール販売員は「可愛い女の子」だけでなく、「さわやかな男の子」「感じのいい男」も同じく売り上げが多い。

男だって、「見た目のいい男」から、ものを買いたがるのだ。

見た目主義社会の到来

見た目のさわやかな男の子の売り上げは、そうでない場合より多い。売り子が太っていたり、

愛僧のない顔をしていたら、売上は明らかに少ない。客を観察していると、そういう売り子が廻ってくるまで待っているのがわかった。

売店でだけビールを売っていた頃には想像もしなかった事態だ。むかしは客にとって「ビールが買えるかどうか」が問題だった。

だから「空いている売店」ならどこでもよかったのだ。しかし今は「どの子から買うか」を選べてしまう。

では、選べない環境では売上はどう変わるのか?

新幹線の車内、ワゴンを押して販売員が飲み物や弁当を売って廻る。

見た目主義社会の到来

売り子ごとに、売上が大きく違うのだ。もちろん季節や天候やその日の気温、客の入り具合によってビールの総売り上げは大きく違う。

しかし、そういう「当たり前の変化」を差し引いても、あきらかに売り子ごとの売り上げの差が大木すぎるのだ。

いつも同じ売り子ばかり、ビールが売れる。配置は毎日違うし、客層だってバラバラだ。

でも特定の何人かの売り子だけ、あきらかに売上が高い。同じものを同じように売り歩いているのに、なぜこの差が生じるのか。

原因は売り子のルックス、つまり見た目だった。見た目が可愛い女の子の売り上げは、そうでない場合より多い。

見た目主義社会の到来

経営者たちはこのジレンマを解消しようと、売店を増やしたり販売員の数を増やしたりしたが、結果は同じ。

わずか数分の休憩時間に客は殺到し、大半の客はなにも買えず去ってしまう。みすみす販売チャンスを逃がしていたのだ。

売り子が、背中に生ビールタンクを背負って回るようになって、ようやくこの問題は解決した。

客は、観戦しながらビールが買えるようになった。これなら、試合中いつでもビールが買える。

経営者たちの目論見どおり、売上はうなぎのぼりになった。

ところが、ビールを買いたい客が、労せずにビールが買えるようになると、今までとは違うある傾向が経営者の目に留るようになった。


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