教員の経験がないので誰を手本にして児童と向き合うか。観音様の心でやってみよう。観音様は三十三現身とも十一面とも千手とも言われ「衆生無辺誓願度」を発願された。これなら何人来ても大丈夫、一年生も六年生も同時に教えられる。
 一番すすんだ児童は六年生で80枚の単語カードが3冊目になった時、不規則動詞を教えることにした。中学生で覚える不規則動詞は約80個なので丁度1冊分になる。手作りのモデルカードを手本に毎回数個づつ記入させて2ヶ月ほどで書き上げた。その児童のために毎週一回10個の動詞を復習させた。スペルミスはだんだん少なくなる。次に5〜6年生用の黄色いカード作りの手伝いを頼んだ。短文の暗記に参考になる絵を描いてもらう仕事だ。ある程度すすんだ時に、人称、否定文、疑問文など初歩的文法をA4で2枚書いてあげた。コピーは黄色いカードとともに高学年用の机の上に置いてある。
 海外旅行が好きな家内が英会話を学びたいというので、聞き流すだけでよいスピードラーニングを薦めたことがある。根気がなくて途中で投げ出しテキストが泣いている。これをやってみないかとすすめたら、前向きでやりたいというので12月から始めた。2月から3巻目に入る。4月から中学生になるが続けたいと言っている。ちなみに1月からは5年生の児童が1巻目をスタートした。二人目だ。
 1月になって、
「英検4級に受かったけど、マグレみたいで実はちっとも解らないので教えてください」と、頼んできた。
 5級と4級のテキストを借りて一読してみると、確かに5級なら過去半年の学習程度で合格するが、4級はやや難しい。そこで「英検4級学習の要点」をA4で2枚、「英検4級学習の要領」をA4で1枚作ってあげた。そしてこの要点と要領にしたがって10回復習して見なさいと教えた。
 この児童の場合は、学習の進め方を指導するだけで実際の学習は不規則動詞の頃から自宅でやってくるようになった。1〜2年生の児童でも、書いた単語を覚えるのは、教室ではなく自宅で両親の手助けを得て遊び感覚でやっている。「先生、テストして」と言われると、6年生の児童に代役でしてもらうようになった。
 ひとつの方向が見えてきた。単語帳の効用は、教室のそとで如何にして学習するように仕向けるかの工夫から生まれる。換言すれば、自分からすすんで学習する気持ちを起こさせるか、また家庭で両親が協力してくれるように仕向けるかということのようだ。
 自分が子供の頃、
「すすんでするのは人の上、真似してするのは人の中、言われてするのは人の下、言われてせぬのは人の屑」下でもよい屑にだけはならないようにと教えられた。下から順に中上へと児童一人ひとりの顔を見ながらさりげなく誘導するのが、対機説法と言われる観音様方式のようだ。
 このごろは帰宅する時に、廊下や運動場で教室に来なかった児童から声をかけられ短い会話をすることが増えた。このチャンスを生かして名前を覚えるように努めている。
 3月14日で今学年の英単語教室は終了した。新年度は4月11日から始める。最終日には大勢の児童が参加して、そのうち11人の児童に教材を貸し出した。学年末の休み中に勉強して新学年になったら返却することになっている。
 今回は教材について述べてみよう。最初は、各児童が覚えたい単語を日本語で書いてきてその英語を教える考えであった。所がその趣旨がなかなか徹底しない。そこで黒板に「今週の単語」を書いて書き写しさせた。それも連続性がないので、新しく入会してくる児童に戸惑いを感じさせる。なにしろ実質20分の短時間に6年生から2年生までレベルの違う児童が一緒に来るのだから大変だ。
 6月末に葉書大のカードを80枚ほど作って机のうえに並べたら、ひとまず皆で同時学習できるようになった。そのころ、1から20までの数字、曜日、四季、1〜12月などをA4にプリントして二つの机に置いて覚えさせた。
 7月になってから、ABCのジグソーパズルを買ってきてB4でコピーをとり、配布した。これで単語帳1冊80語ぐらいの単語が書ける。またABCの初歩的な図書を3冊購入して机の上に置くことにした。7月12日始めて1年生の双子の児童が入会してきた。そのころから単語帳の2冊めを始める児童がふえてきた。まもなく夏休みになる。
 9月の新学期からCDプレーヤーを持ち込み、ABC図書付属のCDを図書室の片隅で聞かせることを始めた。これが意外に好評で「家で聞くから貸して欲しい」という児童がでてきた。10〜11月には1〜2年生の参加が増えて4〜6年生が来なくなり始めた。
 11月、6年生の児童に不規則動詞の指導を始めた。5年生にもすすめてみたが、尻込みするばかり。
 12月、6年生にスピードラーニングの貸し出し(1ヶ月)を始めた。年末で参加登録者は77人になった。学校側が私の活動をようやく認めてくれ、図書室に英語のコーナーを作り、5冊ほど図書を購入してくれた。
 1月、単語カード補充のため百円均一ショップに行った時、偶然CD付の図書を見つけた。初歩のAランクからEまで全部買っても1000円だ。単語の本なども買って教室で使い始めた。5年生の児童がスピードラーニング(SL)を始めることになった。
 2月、2年生で熱心な児童の母親と相談してSLを始めることになった。三人目である。
 3月になると急に教材の貸し出しが増えてきた。これからは図書室での学習から、借り出し学習に代わっていく方向が見えてきた。SLはもう一人の2年生が始めて四人目となる。毎月一人しか始められないので、学年に関係なく熱心な児童に勧めている。  

(07.3.19投稿)


 今回は4月から中学生になる児童の感想文と、母親からのお便りを紹介します。新年度からの指導の参考になるものです。

英単語教室に参加して           6年 下迫 彩華
 私は、この一年間、英単語教室に参加しました。最初はあまり興味がありませんでした。しかし、始めてみると、一日一単語なので、短い時間でも出来るし、単語の読み方も解りやすく書いてあるので、すごく楽しくて興味が湧いてきました。
 そして何回かやっていると、先生が不規則動詞をやってみませんかと、すすめてくれました。覚えるのが大変なんだろうなあと思っていたら、不規則動詞にはパターンがいろいろあるので、パターン別に教えていただきました。すると思っていたほど大変ではありませんでした。筆記のほうはプリントを用意して何回も復習させてくれました。よく覚えていなかったり、間違って覚えているのが解って良かったです。
 英単語教室は月、水、金曜日の昼休けいという短い時間でしたが、沢山の収穫がありました。その中でも、特に不規則動詞は中学に行ってもすごく役立つと思います。大切なのは、一歩一歩(step by step)頑張っていくことだと思いました。

お母様からのお便り。
 いつも娘が大変お世話になっております。英単語を教えて頂くようになってから、英語に対してとても興味を持つようになったようです。いつの間にか不規則動詞を覚えているのには驚きました。本当に感謝しております。

(注)
 この児童は英検4級に合格して、3級に挑戦する準備をしています。この3月にはスピードラーニング4巻目にすすみ、中学に進学しても続ける意向です。近所の小学生に仲介してもらって指導を続けます。中学卒業までに、英検3級、準2級、2級と順次クリアするのは確実です。自分でやる気を起こせばすごく進歩する実例です。新しく6年になる児童達に良い刺激になる実績を残してくれました。




(続く)